やがて晴れるでしょう
NHK番組 “らららクラシック”から
チェコの民謡(童謡?)『コチカレゼディーロウ』の歌詞に、「雨が降れば濡れますね。でも太陽が出れば乾きます。」という箇所があるそうです。「今は雨が降っているような苦しい状況でも、いつかは必ず晴れて明るい未来がやってくる。」というメッセージです。
この曲『コチカレゼディーロウ』がスメタナの交響詩『モルダウ』に引用されているそうです。『モルダウ』の出始めは、よく知られている哀愁を帯びた短調のメロディーですが、このメロディーはもともと長調の『コチカレゼディーロウ』を短調に編曲したものだというのです。
スメタナはなぜ、この民謡を『モルダウ』のテーマとして採用したのでしょうか。それは、スメタナの祖国の民衆に対する思いを込めるためです。祖国の文化を取り戻したいという願いを込めるためです。チェコの国民を励ますためです。チェコは長らくオーストリアの支配下にありました。そんな中、スメタナは祖国の独立を願って交響詩『モルダウ』を作曲したのです。
スメタナは、晩年聴覚を失いますが、この曲はスメタナの聴覚が失われていくまさにその時に書かれています。作曲家人生最後の仕事としてこの曲を書いたのです。大河モルダウのだれにも止めることのできない流れ。そのイメージとあいまって、あの優雅で哀愁を帯びたメロディーと最終部の明るいメロディー(もともとの長調の『コチカレゼディーロウ』)が、秘めた力強さや希望や励ましのメッセージを伝えていることを学びました。
また、『コチカレゼディーロウ』と『子ぎつね』(ドイツ民謡)が同じルーツだということも面白いなと思いました。