ペンタゴン・ペーパーズ

スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』という映画を見ました。ベトナム戦争にまつわる話なので、1960年代の終わり、わたしが高校生だった頃です。ベトナム反戦運動とかはニュースで見聞きする程度でほぼ傍観者だったかなあと当時を思い出します。それでもサイゴン陥落の映像は目に焼き付いています。この映画を見て、アメリカの国内ではこんな大変なことが起こっていたのだと認識を新たにしました。

この間まで主婦だったといってもいい女性が、夫の死によって父親から受け継いだ新聞社ワシントン・ポストを引き継ぐことになります。会社経営など不慣れな一人の女性が、堂々とした経営者に成長していく課程が感動的です。単に会社を守るというだけでなく、報道の自由をいかに守り抜くかというせめぎ合いの描写がすごいと思いました。同時に、あのアメリカでさえ女性が社会で働くということが大変だった社会状況が描かれています。「演説する女は後ろ足だけで歩く犬だ」とか「経営者が女性だと投資家は金を出さない」とか。役員会などの会議も男性ばかりで女性は彼女だけ。そんな状況の中、報道の自由を優先した彼女の決断が、アメリカ社会を動かします。

ニクソン大統領に訴えられた裁判で勝利したことを伝える電話を、社員が他の社員に受話器を持ちながら復唱します。その中のある判事の意見は次のようなものでした。報道が民主主義に不可欠な役割を持っていること。報道機関が仕えるべきは統治者ではなく国民だということ。

日本の報道機関にも統治者と国民の間というポジションにあって、真実を伝えることで民主主義を守ってほしいし、私たち国民もそのような報道機関を守り育てていく必要があるなと思いました。

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