Yes Man

イエスマン

映画を観ました。
『イエスマン“YES”は人生のパスワード』
ちょっと昔(2008年)のアメリカ映画。
主演はジム・キャリー。共演にズーイー・デシャネル。監督はペイトン・リード。
離婚のショックのあまり生き方が極端に後ろ向きになってしまった男が、怪しげな自己啓発セミナーによって人生を一変させていくというコメディです。
何にでも「イエス」と答えるという、ほとんどむりやり立てさせられてしまった誓いを守ることで、ネガティブで人付き合いが悪くなっていた主人公カール(ジム・キャリー)がどんどん明るくなり、他人の自殺まで止める英雄になったり、親友の結婚を盛大に祝ったりと、一気にポジディブ人間へと変身していきます。その中でも肝になるのが、ちょっと不思議で魅力的な女性モリソン(ズーイー・デシャネル)との出会いです。
この映画を観ながら、心理学で言うところの、「一貫性の原理」と「返報性の原理」を連想しました。離婚のショックをきっかけに、全てに「ノー」と言う生活にはまり込んでしまったところ。それとは逆に、一旦「イエス」と言うことを受け入れてしまうと、それをやり続けるところ。これらは「一貫性の原理」。「イエス」と言うことで、相手から好意を持たれる展開は「返報性の原理」。
「世界は遊び場。みんな子どもの頃は知ってるのに、大人になると忘れちゃう。」モリソンはこのように自らの生き方の根源を語ります。一方、物語のラスト近くでカールは、「昔のぼくは自分に自信がなかった。イエスって言ってだれかと関わり合いになっても、いずれ相手に失望されるって。人と分かち合えるものがなかった。」これは、「自己開示の返報性」だといえそうです。
「イエス」も「ノー」も自分に素直に、そして相手のことを本当に大切に思いながら言うことが大切。モリソンの申し出に一番「イエス」と言わなければならないタイミングで躊躇してしまうカール。さらには、イエスマンの「誓い」のことをモリソンに知られてしまい、あのときの「イエス」は義務的に言っただけなのかと問われて「ノー」と言えないカール。ここでカールは、「イエス」と言うのも「ノー」と言うのも、真剣に自分の中をくぐらさざるを得なくなります。イエスマンの誓いも、一貫性の原理も、返報性の原理も、マニュアルのように利用しようとしても上手くいかないということですね。
ジム・キャリーのギャグと、ハチャメチャでスピーディーで、伏線を次々と回収していく展開が面白い映画ですが、やはり観客を最後まで引っ張っていくのはズーイー・デシャネル演じるモリソンとのラブストーリーだと思いました。

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