第1回聴覚補償研究会

今日は研修会に参加しました。
第1回聴覚補償研究会。これまで48年間続いてきた補聴器勉強会が一応の区切りを付けて新しく発足した会です。
場所は同志社大学。

<講演1>「新生児聴覚スクリーニングと早期介入の現状:国際的コンセンサスの検討」廣田栄子先生(筑波大学)

◆0歳からの早期介入が可能になった現在、言語獲得の適時期(optimal period)未解決問題への再挑戦が求められている。
◆早期介入や人工内耳の普及によって、聴覚障害の程度の幅が広がり、他の障害との重複等によっても乳幼児の多様化が進んでいる。そんな中、個に応じた適切な指導と評価が求められている。
◆新生児聴覚スクリーニング単独では、早期介入を必要とする乳幼児をもれなくすくい上げることは難しい(取りこぼし、進行性・遅発性の難聴)ので、予防的小児ヘルスケアの観点が必要。この点では、日本は優れた仕組みを構築している。
◆0歳児特有の課題:①HA常用が困難なケースがある。②保護者の障害理解や障害受容が難しく、早期教育へのモチベーションが持てないことがある。
◆会話法(コミュニケーションモード)選択の課題が依然としてある。
◆片側難聴の問題がクローズアップされてきている。

早期教育や早期相談の担当者には、これまで以上に高い専門性が求められます。また、関連専門機関と連携してチームとして対応することがますます大切になるのだなと思いました。

<講演2>「聴覚補償の到達点と展望」伊藤壽一先生(京都大学・滋賀県立成人病センター研究所長)

◆ES細胞移植+人工内耳埋め込み
人工内耳を埋め込んでも効果が出にくいケースは、ラセン神経節細胞がダメージを受けているからではないか。
有毛細胞だけではなく、ラセン神経節細胞がダメージを受けている。あるいは、有毛細胞は無傷でラセン神経節細胞のダメージが原因の難聴もある。有毛細胞のダメージによってやがてラセン神経節細胞が減ってしまうということも考えられる。
そこで、ES細胞移植と人工内耳埋め込みの合わせ技で効果を出す。これはサルを使った実験で効果を確認している。ヒトの場合はiPS細胞の内耳細胞移植治療への応用になる。

◆人工聴覚上皮「HIBIKI」(新型人工内耳)の開発
現行の人工内耳は、・体外装置が必要 ・体内装置も大きい ・駆動電源が必要 ・手術術創が広範囲
HIBIKIデバイス
原理:音声振動による圧電素子膜の歪みで起電
特徴:体外装置不要、体内装置不要、電源不要、HIBIKIデバイスを蝸牛内に挿入するだけ

圧電素子を使うと言うアイデアに、そうかー!と感動しました。しかし、問題もいろいろあって、
起電力が小さい・・・でも後一歩だそうです
デバイスの挿入手術が難しい・・・精密ロボットを使って対応できそうだという動画を見せていただきました。さらに精度を上げるためにAIの導入も計画中とのことです。

体外装置も電池もいらない人工内耳って想像しただけでもすごいと思いませんか。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。